ユースホステルに泊まる
ユースホステル(英語:youth hostel、ドイツ語:Jugendherberge)とは、プロイセンのリヒャルト・シルマンが創設した、青少年・少女の旅に安全かつ安価な宿泊場所を提供しようという主旨で始まった運動及び宿泊施設の世界的なシステムである。
日本での略称として、「YH」、「ユース」が使われる。またユースホステルの利用者をホステラー、ユースホステルを利用した旅をホステリングという。海外では、素泊りか朝食付で1泊が日本円に換算して約3,000円か、それ以下の廉価で泊まれるというのが魅力で、その宿泊施設が、古城であったり、帆船であったり、豪華な邸宅であったりといった予期しない楽しみも多い。世界最初のユースホステルもドイツ・ドルトムント近くのアルテナにある古城の一角に設けられた。2005年現在では、世界の80ヶ国に約5500ヶ所の施設があり、うち約3分の2がヨーロッパに所在する。日本国内では、1970年代から1980年代にかけては500ヶ所以上にも上ったが、施設数は減少傾向で、2007年現在は、約300ヶ所の施設が営業。基本的には会員制(会員でない場合はビジター料として600円が加算される→公営ホステルは除く)で、日本国内の施設では宿泊料金は2007年現在で一般的に1泊2食付で約4,700円〜約5,040円(会員料金・通常期料金)となっており、基本的に寝室は男女別相部屋である(2006年より宿泊料金の上限が引き上げられ、繁忙期料金や閑散期料金がそれぞれの施設である程度自由に設定できるように規則が改められた)。
日本での会員数は、最も多かった1970年代には60万人以上にも上ったが、1980年代以降は減少傾向にあり、2009年現在では最盛期の10分の1以下の約5万5000人台にまで落ち込んでいる。
元来、青少年の旅行者向けに開設された宿泊施設とはいえ、ドイツ南部のバイエルン州で原則満26歳までの利用とする年齢制限があるほかは、日本も含めて世界中の他の全ての地域・国で、利用できる年齢に上限を設けていない。
おすすめ情報
歴史
ドイツの小学校教師リヒャルト・シルマン(Richard Schirrmann)が、ワンデルンシューレ(移動教室)を思いつき、児童を連れて、さかんに徒歩旅行をしていた。しかし、宿泊場所の確保に苦労し、1909年に豪雨のために緊急避難的に小学校に避難したことからユースホステルを思い付く。
その後シルマンは、ザウワーラント山岳協会のウィルヘルム・ミュンカーの支援を受け、一代にして世界中にユースホステル運動を広げる。しかし、第一次世界大戦によりユースホステル運動は中断し、大戦後のハイパーインフレで、シルマンは全ての財産を失った。その後国家社会主義ドイツ労働者党(ナチス)政権によりシルマンは追放される。そして、第二次世界大戦と敗戦を経て、爆撃と戦闘でドイツは焦土となり世界から孤立した。ドイツユースホステル協会の国際ユースホステル連盟への復帰は却下され続ける。
このような絶望的な状況下からもシルマンは、何度も何度も再起し、世界中にユースホステルのネットワークを作り上げていった。
世界最初の専用ユースホステルは、シルマンが1912年、アルテナ城を使って青少年が廉価で宿泊できる施設を開設したのが始まりだが、それ以前にも自身の勤務する小学校(アルテナのネッテ校)でユースホステルを臨時に設置していた。但し、アルテナ城と違って専用ユースホステルではない。因みにアルテナ城内のユースホステルは現在も営業を続けている。
日本では1951年10月16日に、下中弥三郎、中山正男、横山祐吉、金子智一らが中心となって日本ユースホステル協会(JYH)が発足した。1952年に13施設と契約。1955年には、直営第1号として、北海道千歳市の支笏湖畔にある支笏湖ユースホステルをオープンさせた。以後、全国各地でユースホステルの開業が相次ぎ、1974年の最盛期には587施設とピークを迎えた。それ以降の施設は減少気味であり、2000年には332施設まで減っている。会員も全盛期には、63万人を超え世界第一位となったこともあったが、現在では5万人台まで落ち込んでいる。
組織
ユースホステル運動の国際組織として、国際ユースホステル連盟(International Youth Hostel Federation、IYHF)があり、イギリス・イングランドのハートフォードシャーに事務局が置かれている。
JYHなど各国のユースホステル協会がIYHFに加盟しており、日本ではJYHの支部として、各都道府県のユースホステル協会が設けられている。
各ユースホステルはIYHFや所在する国・地域の協会の指針に基づいて運営される。
青少年運動としての側面
都道府県のユースホステル協会で、青少年活動としての事業を行う所がある。野外活動の一部としての「歩くこと」や、少年少女の指導的な側面はボーイスカウト・ガールスカウトに通じるものもある。また、大学・高校の公認サークルとしてのユースホステル部やユースホステル研究会も存在する。ユースホステルの利用を前提とした、自炊によるアウトドア活動や鉄道旅行、子供との交流などに力点を置いている。
四つの誓い
ユースホステル会員やホステラーが守ることを求められる誓いが、JYHによって次の通り定められている。
- 私たちは、簡素な旅行により、未知の世界をたずね見聞を広めよう。
- 私たちは、規律を守り、良い習慣を身につけよう。
- 私たちは、共に助け合い、祖国の繁栄に努めよう。
- 私たちは、国際人としての教養を高め、明るい社会を建設しよう。
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